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ニューヨークで心温まる海辺の結婚式
コモンるみ

 

先日義弟の結婚式に参列しました。

 

マンハッタンから車で3時間、ニューヨークの高級避暑地、ハンプトンに湾をはさんで並行する、トスカーナ地方を彷彿とさせるノースフォーク先端の小さな海辺のホテルでの結婚式でした。

式は、教会の代わりに、ビーチで開催されました。

 

花嫁さんは大家族で育った人。姪や甥なども含めるとすごい人数でした。

 

2人が知り合ってすぐに来た思い出の海辺のホテルで結婚式

 

参列者たちはロングドレスに足元はフラットシューズ、中にはビーサンの人も多い初夏にふさわしいものでした。

 

 

花嫁さんも砂にヒールを傷めないようフラットシューズでした。

 

ダンスの途中本気で踊るためスニーカーに履き替えた花嫁

 

結婚相手アイリーンは、義弟より一回り以上年下で初婚です。

 

彼女は一流のファッションハウスのPRの仕事をしていると聞き、最初は、きっと、痩せっぽちで、ブランド物に身を包んだ、華やかで野心家の女性に違いないとなぜか勝手に想像していました。

 

結婚式には、彼女の友だちで、有名なデザイナーのP Rをしているオシャレなゲイの友人たちがたくさん参列し、それは華やかな雰囲気でした。

 

一目でファッション関係者とわかるのは足元

 

 

ファッション関係者が多いと聞いていたので選んだのは、メットガラでキム・カダーシオンも着たティエリー・ミュグレーのヴィンテージから。後ろのピンクのドレープが特徴。

 

 

彼女はアイルランド系カソリックのバックグランドを持つお嬢さんで、 すでに引退した修道女の叔母さんが2人いらっしゃいます。

その叔母さんたちも結婚式に参列されました。

 

一方、義弟はバツイチ子持ちで、前の奥さんとの間に13歳の娘がいます。

 

娘のセリーンちゃんは普段は母親と住んでいて、父親である彼とは週末に会うだけの関係です。

けれど、元妻と義弟は、これ以上望めないほど理想的な友だち関係を築き、義弟は100点満点をあげたい父親ぶりを発揮しています。

 

ただ、40歳になったばかりの花嫁と53歳の子持ち男のカップルは果たしてうまく行くのだろうかと、密かに心配していました。

 

娘のセリーンちゃんとの関係はどうなるのだろう。

彼が娘と会う回数は減るのではないか。

継母となるアイリーンとはうまく行くのだろうか、なんてね。

 

が、その心配は彼女に会って吹き飛びました。

義弟から彼女との結婚を考えていると聞かされたある日、2人はハンプトンの週末のわが家に泊まりがけで遊びにきてくれました。

 

彼女は痩せっぽちではなく、赤毛が似合うダイナミックで魅力的な女性だけど、決して派手な印象ではありませんでした。とても足に地がついた感じです。

 

 

あえて白ではなくベージュピンクのウエディングドレスを選んだ花嫁さん

 

そして、決定的にいい意味で期待が裏切られたのは、夫が義弟に大きな新品の重いバーベキューセットをガレージに運ぶのを手伝ってほしいと言ったときでした。

 

1人で持つには重すぎ、わたしには到底手伝えない重さだったので義弟が来るのを待っていたのです。

 

ところが、夫が義弟に運ぶのを頼むと、横から彼女が

「わたしに任せて」

と義弟をさしおいて、すでに持ち上げるポジションをとるではないですか。

「ダメよ、重すぎるわよ」

と、わたしが言い、それでも彼女が聞かないので

「じゃあ、わたしも手伝うわ」

というと、

「こういうことは2人でした方がバランスいいの。任せて。わたし鍛えているから力あるの」

と、夫と2人で持ち上げました。

 

アイリーンの顔は持ち上げた途端真っ赤に変わりました。よほど重かったのでしょう。が、なんとか運び終わると、

「ポールは腰を痛めていて、やっと治ってきたばかりなの。また重いものを持って痛めてほしくなかったの」

と答えたのです。

 

重いものは男が持つもの、

と、決めつけていた自分が少し恥ずかしくなりました。

わたしは夫のために同じことができるだろうかと自問もしました。

これぞ本物の愛、ではないですか?

 

これをきっかけにわたしは彼女の大ファンになりました。彼女は何気なくしたことだったのでしょうが、それで心から義弟を愛していることが証明されたと思ったのです。

 

ところで、アメリカの結婚式では、新婦の親しい友人たちがブライドメイドを務めます。

 

が、この結婚式ではブライドメイドは、友人ではなく、アイリーンの1歳年上のお姉さんと義弟の一人娘が務めました。

ブライドメイドに選ばれたセリーンちゃん、花嫁さん同様にプロにメイクもしてもらって大喜びでした。

アイリーンが気を使ってくれたんですね。

そんな気遣いも功を奏し、思春期になり、母親が厳しくなってきた昨今、セリーンちゃんは日常の他愛ない愚痴を話すためアイリーンに電話をかけてくるほどだそうです。

 

「いろいろとセリーンによくしてくれて本人すごく喜んでいたわ」

と伝えると、

「わたし7人兄弟の一番下で、兄や姉の姪や甥のベビーシッターをずっとしていたから、子供が大好きなの」

とさらりと答えました。

ずっとプレイボーイの印象が強かった義弟が惚れた彼女は、年齢は下でも、夫になる人の連れ子のことまで気配りができる、おおらかで包容力がある女性だったのです。

 

この彼女と結婚するにあたり、義弟は弁護士を立ててプリナプチャル合意をしました。

このプリナプチャル合意とは、年収や資産に開きがある2人が結婚前にする、 離婚時に備えた財産分与に関する法的な契約です。

通常、アメリカで夫婦が離婚をすると、財産は50X50に分けることになります。

たとえ妻が専業主婦でも、妻が家事や子育てに専念してサポートしたからこそその財産を築けたとみなされ、平等に判断されるのです。

唯一の例外が、結婚前にどちらかがすでに所有していた資産は、分割の例外とするプリナプチャル合意がある場合です。

義弟がそのプリナプチャルをすると聞きびっくりしました。

「彼、そんなに財産あったっけ?」

あればあるだけ、使っちゃう性分の義弟です。そんなお金があったとは信じられなかったのです。

が、詳しく聞いて納得し、感動しました。

それは、彼のお金ではなく、アイリーンが亡きお父様から譲られた遺産を守り例外とするためのプリナプチャルだったのです。

たとえ離婚することになっても、アイリーンのお金には手をつけない。

アイリーンのお兄さんやお姉さんたちを安心させるための彼の思いやりだったのです。

 

ゲイのカップルが神父さんの代わりをつとめ、引退した修道女のおばあさんたちがダンスに興じる結婚式、温かいオーラがシャワーのようにふり注ぐ結婚式でした。

2人はきっと、プリナプチャル合意の必要がないまま一生添い遂げる素敵なカップルになる。

 

そう信じられる、思い出すだけでほっこりする素敵なお式でした。

 


 

 

Article By Rumi Common

コモンるみ(オンラインストアRish NY/リッシュ・ニューヨーク代表であり、コラムニスト)

N Y在住今年で30年。ファッション誌編集者、日系新聞社の現地法人記者、N Y不動産の売買を経て2011年東日本大震災をきっかけに日本とN Y州で起業。著書に「N Y発幸せになれる体質作りGiving 上流の極意」(廣済堂出版)「N Y発世界基準の女の心得」(武田ランダムハウスジャパン)「NY流見た目のルール」(カドカワ)がある。オンラインストアRish NY/リッシュ・ニューヨーク代表

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